「古民家再生」新しい生き方を求めて

定年を過ぎたら田舎暮らしでのんびりしたい、空気の良い自然の中で子供達を育てたい、都会の暮らしよりも昔の暮らしを体験しながら生活したい、昭和時代の暮らしやすさを求めてなど、都会から不便な田舎に引っ越したり、古い空き家を探して暮らす人達が多くなっています。

住民の少なくなった地方自治体では、「空き家バンク」や「移住者募集」などで地域の発展や生き残りを模索しているところも多くなっています。

古い民家を自分の手で改修、リノベーションして事業を始めたり、自分らしい暮しを求める若者も増えています。

「古民家」は宝の山!

おじいちゃんの家に遊びに行くと古くて薄暗くて和室ばかりで、幼い頃は怖いと感じていました。

しかし、現在では昔の家に良く見られた木材をふんだんに使い、漆喰や土壁の純和風家屋を建てるのは一般的に考えて無理でしょう。

大黒柱や梁に見られる太い木材1本さえ手に入らないかもしれません。

「古民家」には、数百年は持つと言われる木材が使用されています。

樹齢何百年の木材がその姿のまま梁に使われ、磨き杉材が床の間を飾り、玄関や廊下にも建具にも惜しげもなく木材が使われている家はかけがえのない財産です。

使えば使うほど磨かれ、丈夫になり美しさを増して何十年、何百年と修繕しながら使い続けることが出来る家は、お金に変えられない価値があります。

さて、こんな立派な家屋が現在「空き家」となって朽ち果てようとしています。

「家は生き物」と言う人もいますが、その家で暮らし生活することで家は永く美しさを保つのであり、田舎を敬遠して住まう人がいなくなると、とたんに家は老朽化が進み傷んでしまいます。

「もう住まないし寿命だと思よ」そう言って、解体してしまっても良いのでしょうか?本当に寿命なのでしょうか?

外見上、朽ちたように見える家屋の中には、立派な柱と梁が本体を支えています。

このかけがえのない宝を生かさない手は無いのです。

傷んだ所を一つ一つ修繕し、古い木材を生かして再生することで、これからの100年住まい続ける家にすることができるのです。

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「古民家再生」は「復元」ではありません

親子何代にも渡って住み続けた家を解体して、今までと異なる現代的な使いやすい家に建て替えたいと考える方も多くいますが、立派な木材を使った古民家は一度壊してしまったら二度と建てる事は出来ません。

いろいろ不具合が出て修繕にお金がかかるようになったから、元通りの家に直そうとするのは、昔のままに「復元」することになります。

「復元」は、現代の生活に合わない不便さもそのまま修繕することです。

古い家の良さを取り入れて、入手困難な木材や建具も生かし、現代の生活にマッチしたデザインや住みやすさ、機能性を加味して造りなおすことを「再生(リノベーション)」と言います。

「再生」は読んで字の如く、「再び生かす」ことであり、使えるモノを捨てる、処分するのではなく、現代に合うように再度生かして使うことにあります。

100年200年と時を刻んできた古民家が、再び息を吹き返す「再生」の方法で活用すればこれからの100年も使用可能な家となるのです。

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「古民家再生」に引きつけられる若者たち

第二次世界大戦以前頃までに伝統工法で建築された家を「古民家」と言い、国の文化財登録制度では、築50年以上を経過したものを対象にしています。

古いものでは江戸時代から数百年の時を刻んでいる家もあり、その建築や佇まいに興味を持ち移り住む若者たちが増えています。

それは、都会から田舎に移り住むばかりでは無く、アパート暮らしから実家の祖父母が暮らしていた空き家に移り住むなど、身近な空き物件を自らの手で修繕・改築・リノベーションするのです。

建築会社やリフォーム店に依頼するのではなく、かかる費用を極力減らし自分の労力と努力で思い描く住まいや自分スタイルのお店へと再生します。

昔ながらの住宅が並ぶ町に、アンティークな佇まいながらおしゃれなカフェが出現したり、田畑が多く田舎街の住宅地域に、若いオーナーの手造り皮製品の工房&お店が出来たり、実家の倉庫を雑貨店にしたりと若者のアイデアや行動力は、常識とかけ離れたところにあるのかもしれません。

しかし、若者の「古民家再生」への興味の根底にあるのは、「使えるものは使って生かす」「古くても見方・使い方を変えればモノは生き続ける」のです。

これこそ、「再生」でしょう。

現在は、それぞれの人が自分らしい生き方を模索し行動し実践できる時代になっています。

どこに暮らしていてもネットがつながれば商売が出来、出社不要の働き方が出来るのです。

暮らし難いと感じる都会やコンクリート社会の中で暮らす必要もなく、古いものに自分の考える価値を見出して、自分の生活に取り入れることこそ、新しい生き方なのです。

地方都市や過疎地の「空き家バンク」への問い合わせは、年配者ばかりでなく20~30代の若者が自分の生き方を実践する家として望む人も多く、Uターン、Iターン者への受入れ態勢も整えられつつあります。

「古民家再生」は古いものを最大限に生かして、新しい住まい方、生き方を提供する基盤となる家をよみがえらせることなのです。

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