ペットブームと言われる現代、猫ブームは過去にないほどの加熱状態です。
猫は犬と違って散歩する必要が無く、吠えることも無く、登録や狂犬病予防接種のような義務も発生しません。
このような点から猫はペットとして飼いやすいと言われますが、かわいいだけで飼ってしまうと将来困った問題を引き起こすことになりかねません。
普通の飼い主にも起こる「猫の多頭飼育崩壊」について、その原因と問題点、注意すべきことを考えていきましょう。
目次
飼育前に知っておきたい猫の習性と飼い方
動物が好きでペットを飼いたいと思うのに何ら悪いことはありません。
犬よりも猫が好きだから、かわいくて癒されるし犬よりも手間がかからないなど、猫を飼いたい人の思いもいろいろでしょうが、犬よりも費用が掛からず規則も厳しくないことから飼いやすいと言えます。
しかし、動物を飼うことには責任が伴い、エサ代やトイレ、専用ケージに衛生費用、病気になれば医者に連れていくことなど、かかる費用も考えなければなりません。
そして、猫は繁殖能力が非常に高いということを念頭に置かなければいけません。
猫の発情は2つのシーズンに分けられますが、その発情シーズンに複数回の交配が可能で、交配から65日程で出産するため、年に3回から4回の出産も可能になるのです。
1度の出産で2匹から6匹程度産まれるので、2匹から始まった猫の飼育が1年後には何十匹になることもあるのです。
その為、避妊は必ず必要になるのですが、かわいいペットの子供を産ませたい、産んだら育てたい、そんな気持ちからズルズルと数が増えていくことになります。
不幸なのは猫達です。
部屋の中で暮らすため安全は保たれますが、避妊しない親子、兄妹同士での交配であちこちで子供が産まれて数を増やし、近親交配による奇形や障害のある猫を誕生させてしまいます。
いつの間にか増えてしまった猫に飼い主はお手上げとなり、鳴き声や糞尿のニオイに近隣からの苦情が発生します。
ペット可の賃貸物件に住んでいる場合は、飼い猫の処分と退去を言い渡されることも多く「多頭飼育崩壊」になるのです。
猫などペットを飼い始める時には、その習性や特徴、飼い方やかかる費用を検討したうえで飼い始めましょう。
避妊はかわいそうだとか、費用がないという飼い主もいますが、そもそも多頭になった時の猫の方が可哀想であり、避妊手術費用が捻出できない場合は、その後の飼育にかかる費用も心配になると思われます。
計画的な飼育方法を検討するようにしましょう。
[ad#ad-1]飼い主と猫の関係は幸せですか?
愛猫として1匹の猫を大事に飼っている人もいます。
1匹だと寂しいからカップルとしてオスメス2匹飼うのもよいでしょう。
多頭飼育する時の必須条件として「避妊」手術をしましょう。
仲良く暮らす2匹の猫を見るのは幸せな気持ちになりますし、その動作を目にすると癒されます。
猫によって幸せにしてもらっている飼い主、飼い主が幸せそうにしていることで猫もまた幸せなのです。
この関係が望まぬ出産によって崩れていくと、飼い主は世話も行き届かなくなり、疲れ果ててイライラするようになり、猫も常に仔猫や多くの猫に囲まれて、飼い主の愛情を感じられなくなります。
飼い主は餌をあげてトイレを片付けるのも手いっぱいになり、臭いや騒音にも鈍感になって苦情が出たことで、悲しく苦しい現実に気付きます。
猫もいつの間にか多くの猫が部屋をいっぱいにして、エサもお腹いっぱい食べられず、不衛生な環境の中で病気になる子も増えてしまいます。
苦情が出ると、貸主であるオーナーや不動産会社が立ち入りします。
ルール違反である事から退去を命じられても、全ての猫の命を守ることが出来るのか、行政や保護団体が介入しなければ飼い主がどうにかできる範疇を超えています。
このような状態になる前に、できるだけ早く避妊すること、もしも産まれたらキャパオーバーになる前に手放すことも視野に入れ、愛猫の幸せを考えましょう。
[ad#ad-1]「多頭飼育崩壊」の現状って?
現在「ペット可」の賃貸物件が増えています。
一人暮らしや若い家族、老夫婦などペットと一緒に暮らしたいという希望者が多いことと、賃貸物件の空き部屋を無くす為に、オーナーが小型犬・猫などの小動物に限って条件緩和している背景が考えられます。
「ペット可」物件の敷金や保証金は、ペットによる汚れや傷みを考えて不可物件よりも高く設定されています。
だからと言って、多頭飼育によって取り返しのつかない状態になるとは、オーナーも管理する不動産会社も考えてはいません。
ペットを飼うのは賃貸の場合、普通小型犬・猫1~2匹を想像しますが、最初の2匹が発端になって数十匹に増えるとは考えにくいものです。
しかし、10匹前後の猫を飼っている人は案外多いのです。
1~2匹の猫が暴れてもそれ程騒音被害や鳴き声がうるさい事はありませんが、数十匹ともなれば両隣、上下階への音やニオイの漏れはひどく、不衛生な環境から健康被害に及ぶこともあります。
ノミダニからカビや糞尿の飛散など、飼い主自身も健康を害し多頭飼育から抜け出せず、悪循環の断ち切り方が分からずにズルズルと飼い続けることもあります。
こうなると普通の生活が成り立たず、オーナーや不動産会社に知られたことで、助かったと安堵する飼い主もいるのが現状です。
最初に「避妊手術」をしていれば、問題なく幸せなペットとの生活を楽しめたでしょう。
それを怠ったばかりに、数年で生活も破たんしてしまうのです。
「多頭飼育崩壊」現場の部屋は、退去しても他の人に貸せるようにするには多額の修繕費用が掛かり、糞尿やペットのニオイはなかなか取れず、オーナーや不動産会社の収益にも悪影響を及ぼす結果になるのです。
「多頭飼育崩壊」を未然に防ぐには?
「ペット可」賃貸物件で契約しても、ペットの数と避妊しているかの証明書提出を入居者に求めることや、定期的にペットの数の確認をするなどの管理体制を作ることが大切です。
賃貸物件は、オーナーの資産です。
大切な物件から「多頭飼育崩壊」が出ることで、大きな損失となります。
入居者にもプライベートは守られるべきですが、まずは賃貸契約にペットの数を明記して「避妊」を条件とするという一文を入れるなどの対処が必要になってくるでしょう。
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