忘年会や新年会だけでなく、年間を通じて何かとお酒を飲む機会は多いものです。
女性・男性関係なくお酒を飲んで顔が赤くなる人とならない人がいますね。
女性の赤くなった顔は同じ女性から見ても可愛らしく見えて、顔色が全く変わらない女性は酒豪のように思われてしまいます。
顔色が変わらないから酔っていないのかというとそうではありません。すぐに赤くなっている人はお酒に弱いように見えますが、赤くなってからもかなり飲める人もいますね。
さて、お酒で赤くなる人とならない人、身体への影響やリスク、違いはあるのでしょうか?
目次
顔の赤さと酒の強さは必ずしも一致しない!
お酒を飲んで赤くなると、お酒に弱いんだな~と思われ、顔色が変わらないと酒豪に見られてしまいます。
しかし、赤くなりながらもお酒に強く全身真っ赤になりながらでも泥酔しない人もいます。
では、酒量と赤くなるのが関係ないとすれば、何が違って顔色の変化が起こるのでしょう。
実は、体内のお酒・アルコールが代謝される時に発生する「アセトアルデヒド」の毒性が大きな要因になっているのです。
お酒を飲んで顔が赤くなると、血圧が上昇し体温が上がったり、冷や汗をかいたり、動悸がする、頭が痛くなるなどの症状が出る場合があります。この複合的な症状を「フラッシャー」と呼びます。
「アセトアルデヒド」は、顔などの毛細血管を拡張させて赤くなります。
さらに、交感神経への刺激作用が強力で、これによって脈拍が上がり、血圧が上がり、冷や汗が出て、筋肉が緊張するなどの症状を引き起こします。
これがフラッシャーの原因になるのですが、本来アルコールが持っている血流を促す作用も働いて、顔の赤さが助長されるのです。
飲んだアルコールは、アルコール脱水素酵素によりアセトアルデヒドに分解され、その後に「アセトアルデヒド脱水素酵素」(ALDH)により、無毒な酢酸になって肝臓から排出されます。
お酒を飲めば誰でも体内にアセトアルデヒドが発生するのに、赤くなる人とならない人がいるのは何故かというと、「アセトアルデヒド脱水素酵素」(ALDHと略し1・2・3の型がある)が大きく影響しているのです。
「アセトアルデヒド脱水素酵素」(ALDH2)の3タイプと活性のカギ
体内のアルコールの約90%は肝臓で代謝されます。
その時に、アルコール脱水素酵素により、アルコールはアセトアルデヒドに分解されて、「アセトアルデヒド脱水素酵素」によって、無毒な酢酸になります。
このALDHのうち、ALDH1とALDH3は個人差が少なく、ALDH2は個人さが大変大きいので、その差が酒の強いか弱いかを決めるカギになっています。
活性型(NN型)
ALDH2が安定し正常な働きをします。アルコールの分解能力が高いN型を両親から受け継ぎ、酒豪で赤くならず、ほとんどがノンフラッシャーです。
不活性型(ND型・低活性型とも呼ぶ)
分解能力が高いN型と分解能力が低いD型を引き継いだタイプで、飲めなくはないが基本的に酒に弱く、普段からあまり飲んでいないと顔も赤くなりやすいです。
失活型(DD型)
両親からD型を引き継ぎ、酒に弱いだけでなく、全く飲めない人もいて、ほとんどの人がフラッシャーになります。
3つのタイプに分けられても、ノンフラッシャーやフラッシャーと区分けできるものでは無く、毛細血管への反応には個人差があって、必ずしもタイプと一致しないこともあります。
ちなみに、白人や黒人はほぼ100%の人が活性型であるの対して、日本人など黄色人種は、活性型50%程、不活性型40%程、失活型10%程といわれています。
不活性型は食道がんになりやすい?
お酒の分解能力に3つのタイプがあって、その特徴もわかってきましたが、出来れば楽しく美味しいお酒を飲みたいものです。
タイプによって気を付けることや、注意しなければならないことがあるのでしょうか?
活性型はお酒に強い分、常に大量のお酒を飲みやすく常習化しやすいので、アルコール依存症に陥りやすいといわれます。
また、失活型は無理な飲酒やお酒をすすめられると断れない人もいますが、はっきりと「飲めません」と辞退することで、急性アルコール中毒など重篤な症状を起こさないように注意が必要になります。
先に挙げた3つのタイプの中では、「不活性型」が一番注意を必要とします。
ほどほど酒が飲める人は、「お酒は鍛えて強くなる」と飲んでしまい、もともとはお酒が弱いのに飲み続けて、アルコール代謝を繰り返すことで、ALDH2の活性が徐々に高くなります。
つまりは、飲み続けることでアルコール耐性が高くなっている状態になるのです。
ALDH2の活性が低いとアルコール耐性が弱くなります。酵素誘導でアルコール耐性がアップしても活性型に比べると、酒が残りやすく、アセトアルデヒドの毒性に晒されるリスクが高くなります。
これによって、咽頭がんや食道がんの罹患率が高くなる傾向にあるのです。
お酒を飲むと顔が赤くなるタイプで、ヘビースモーカーの人は、飲酒量が増えると食道がんのリスクが高くなることが、国立がん研究センターの研究で出ています。
これからの季節、お酒を飲む機会が多くなりますね。
飲める人も飲めない人も、顔が赤くなる人もならない人も、自分の酒量を知って楽しいお酒にしましょう。
無理は禁物!飲めない人への無理なお酒の勧めは止めて、顔色が変わらないからと無理強いすることがないようにしましょう。