冬の乾燥肌、潤いを無くしたカサカサお肌は、少しの刺激でもかゆくなってしまいます。
湯上りに保湿ケアクリームを塗っても、お肌に優しい肌着にしても、乾燥からお肌を守りきることはなかなかできません。
衣服から出ている手足は、気づいたときにすぐにケアできますが、体や腕など覆われている部分のカサカサかゆみに、毎年悩まされてしまうという人も多いのではないでしょうか?掻きむしって皮膚が悲鳴を上げる前に出来る事ってあるのでしょうか?
皮膚が乾燥するとなぜかゆくなるのか、どうしたらかゆくならずにすむのか、探ってみましょう。
目次
かゆみの原因は肌のバリア機能低下!
通常、皮膚は皮脂膜、天然保湿因子、セラミドに代表される角質細胞間脂質が刺激から皮膚を守るバリアの役目をし、肌からの水分蒸発を防いでいます。皮膚の保湿要素の80%をセラミドなどの細胞間脂質が担っています。
皮膚にこのような保湿力があっても、紫外線やアレルゲン、スキンケアの間違いや生活習慣の乱れなどによって乾燥を引き起こすことがあるのです。
皮膚がかゆくなる原因と強く関係しているのが、この「乾燥」です。乾燥しやすい目もと、口元、足の脛などは皮膚が薄く、乾燥が進むと肌の老化も進み、しわやたるみの原因にもあります。
乾燥して刺激が加わるとかゆみが増して掻きむしってしまいたくなりますが、掻くこともかゆみを生む原因になり、「ヒスタミン」を誘発する物質が出て、かゆみが増す、また掻いてしまうことを繰り返すようになります。「かゆみ止め」など抗ヒスタミン剤を使って掻かないことが皮膚を守ることに繋がります。
冬の乾燥、かゆみを防ぐお風呂の入り方
寒くなって来ると熱めのお風呂にゆっくりと入り、新陳代謝を高めてポカポカになってから眠りたいという人も多いことでしょうね。
湯に入ると水分を補給しているような気分になりますが、実はこの入浴が皮膚の乾燥を招いて、お肌を傷める原因になっているのですよ。
熱いお湯は肌から皮脂を奪い、ナイロンのタオルなどでゴシゴシと身体を洗うと、石鹸の成分で必要以上の皮脂を洗い流してしまい肌荒れの原因を作ってしまいます。お風呂から出てバスタオルで強く拭くことも、肌との摩擦で肌荒れを悪化させてしまいます。
皮膚の乾燥を抑える入浴方法を紹介します。
- お湯の温度は低めに設定します。
- 皮膚への摩擦が少ないタオルで体を洗う。
- 低刺激の石鹸を使ってお肌に優しく。
- よく泡立てて撫でるように洗う。
- バスタオルは体に押しあてるようにして使う。
- 早めに保湿クリームやボディーローションで保湿する。
熱めのお風呂でゴシゴシ体を洗ってキレイになって、ちょっとピリッとするぐらいが気持ち良いお風呂だと思っていたことが、乾燥とかゆみを招いていたのですね。
ゆっくりとお風呂を楽しむことでストレス解消になるのに、お風呂から出たら乾燥とかゆみがストレスにもなってしまう。乾燥を出来るだけ抑え、肌に負担のかからないお風呂の入り方でゆっくりストレス解消しましょう。
乾燥のかゆみから湿疹に
乾燥してかゆみをともなう皮膚肌は、保湿クリームを塗っても肌にベールを作ることは出来ますが、低下してしまったバリア機能を回復することが出来ません。肌の細胞が元気を失っていたら保湿だけでは、回復が難しいのです。
一時的な保湿では無く、肌細胞を正常に回復させる必要があるので、保湿と肌細胞修復力を回復する機能がある薬を使用する必要が出てきます。
お風呂あがりなどの肌が乾燥しきっていない時に塗るのが、乾燥やかゆみから皮膚を守る効果的な使い方になります。かゆみが酷く、乾燥が回復しない時は、早めに皮膚科を受診しましょう。
乾燥やかゆみは冬だから仕方がないと気休めのケアであきらめていたら、掻いてしまうことで赤くなり傷を作って肌の表面は乾燥で粉を吹いたように剥がれてしまいます。進行すると「皮脂欠乏性湿疹」というブツブツ湿疹が出来てしまうのです。
湿疹が出来ると外部からの刺激がダイレクトに皮膚に伝わり、敏感に反応しやすくなってもっとかゆみを増すようになります。「皮脂欠乏性湿疹」の段階で、抗炎症作用のあるステロイド外用剤を使って適切な治療をして対処するようにしましょう。
症状がさらに進むと「貨幣状湿疹」という皮膚炎になってしまうこともあります。聞いたことも無い皮膚炎「貨幣状湿疹」は、名前通りコインのような丸い形に湿疹が出来てしまうのです。
湿疹と健康な皮膚の境界線がはっきりとしていて、腕や足の内側、お尻に出ることが多く、赤く円形の湿疹が出来て次第に水泡を伴うようになります。
「貨幣状湿疹」はとてもかゆみが強いので、我慢出来ずに掻いてしまい、その傷口から細菌が繁殖して化膿していきます。湿疹と皮膚炎の専門治療が必要となり、抗生物質が入ったステロイド外用剤を処方してもらって治療することになります。
冬の乾燥からくるかゆみをあきらめない
空気の乾燥からだけでなく、冬場の生活に欠かせない暖房器具によっても皮膚は乾燥してしまいます。
エアコン、こたつ、ホットカーペットや電気毛布など、心地よい温かさにホッとしますが、体の表面からはどんどん水分が失われます。暖房器具を使用するときには、加湿器を使って湿度を保ち、こまめな水分補給も必要な乾燥防止策になります。
こたつやホットカーペットの上で眠ると気持ちよいのですが、皮膚の乾燥を招く大きな要因になります。乾燥からくるかゆみを感じたら、皮膚のバリア機能回復が見込める保湿力の高いクリームやローションをこまめに使いましょう。
肌に直接触れる肌着なども保湿しながら温かい機能性肌着などが出ています。乾燥やかゆみの症状も人それぞれ、自分にあった商品や治療方法を選んで、乾燥のかゆみから湿疹になる前に皮膚の改善を目指しましょう。