自宅を売却した場合、一定の条件を満たすと譲渡所得から最大で3,000万円の特別控除(措法35条①)が認められる特例があるのはご存知でしょうか。
私は2020年8月に世田谷区の賃貸併用住宅を売却し、その際にこの特例を使うことができたのですが、適用できるのか、適用するためには何をすればいいのかを調べるのに苦労しました。
この記事では、これから自宅として使用している、もしくは使用していた賃貸併用住宅を売却した方や売却しようとしている方に対して、3,000万円の特別控除が適用できる条件と、適用するにはどうすればよいかをまとめました。
目次
3,000万円の特別控除が適用できる条件
賃貸併用住宅を売却した際に、その譲渡所得から3,000万円の特別控除を適用するには以下の条件を満たす必要があります。
- 売却した賃貸併用住宅の所有者であるあなた自身がマイホームとして居住していたこと
- マイホームとして住まなくなってから3年以内であること
- 売却先が第三者であること
- 3年以内に今回売却したマイホームとは別のマイホームで住宅ローン控除や、3,000万円の特別控除などの特例を受けていないこと
まずは上記の4点を満たしていることを確認してください。
この条件を満たしていれば3,000万円の特別控除はほぼ適用できます。
私の場合、賃貸併用住宅を売出した時は自宅として住んでいましたが、1度目の買付けの申し込みが入ってすぐに引越しを進めていたところ、融資特約による買付けキャンセルとなってしまったため、実際に売却した時は自宅部分も含めて全て賃貸として貸し出していました。
幸い、引越してから1年後に新たに買付け申し込みが入り、無事に売却できたため、住まなくなってから3年以内ということで3,000万円の特別控除を適用することができました。
ただし、3,000万円の特別控除はマイホームの売却に対する特例なので、賃貸併用住宅を売却した場合は、その自宅部分だけが特例の適用対象となります。
例えば、半分が賃貸、半分が自宅の賃貸併用住宅を売却し、3,000万円の譲渡所得が生じた場合、特別控除が適用できるのは自宅部分だけなので半分の1,500万円が控除されます。
また、3,000万円の特別控除の適用を受けた場合、その後3年間の申告では住宅ローン控除などの特例が適用できなくなりますので、譲渡所得が少ない場合は敢えて適用しないという選択肢もあります。
3,000万円の特別控除を適用するかどうかはご自身の状況に応じて検討してください。
私が賃貸併用住宅を売却した際、仲介してくれた会社の顧問税理士に、特別控除の適用可否を念のため確認してもらったのですが、最初は適用できないという回答でした。
その後、自分で適用条件を確認し、適用できるはずだからと再度確認してもらったところ、適用できるという回答に変わりました。
そもそも賃貸併用住宅で、さらに売却時には全てを賃貸利用していたので、ぱっと見で適用できないとなるのは当然のように思いますので、適用できるかは税理士任せにせず、自分でも確認してみてください。
3,000万円の特別控除の適用に必要なもの
次に3,000万円の特別控除を実際に適用するためにはどうすればいいかですが、まず確定申告が必要になります。
そして確定申告の際に以下を添付します。
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】
- 戸籍の附票の写しなど※
※譲渡契約締結日の前日において、住民票に記載されていた住所と売却した居住用財産の所在地とが異なる場合は、マイホームとして使用していたことが確認できるものが必要です。
譲渡所得の内訳書は国税庁のHPからダウンロードできますので、上記にリンクを貼っておきます。
こちらを記入し、確定申告の付表として提出することになりますが、後から確認が入るケースもあるようなので、売買契約書や各種領収書などを確認して記載するとともに根拠となる書類は整理しておいた方がいいでしょう。
また、賃貸併用住宅の場合は賃貸部分と自宅部分の割合に応じて算出することになりますので算出根拠となる計算書(フォーマットは自由)も併せて提出してください。
私の場合は、売却額、売却経費、取得費のそれぞれの内訳を一覧化して、賃貸分と自宅分それぞれの金額を記載し、賃貸分の譲渡所得(課税対象)と、自宅分の譲渡所得(特別控除の対象)をそれぞれ計算した1枚紙を添付しました。
手続きしてみた感想
実際に手続きしてみましたが、慣れてないのでとても大変でした。
ただただこの面倒さを乗り越えれば数百万円のリターンがあると自分に言い聞かせてやり切りました。
自分でやらずに税理士に任せるにしても根拠となる売買契約書や領収書を提出する必要があり、書類集めが一番面倒だったので私は自分で手続きしました。
自分で整理してみると、取得費は何にいくらかかってたのか、最終的にいくら儲かったのかが把握できたのでやってみてよかったと思いますが、明らかに譲渡所得が少ない場合は、手間も考えると敢えて適用しないのもありだと思います。
自宅を売却して譲渡所得が生じている方は、ぜひ参考に検討していただければと思います。